会計士試験を勉強してる孫へ
財務会計論は「基準暗記」だけでは伸びないよ
シリーズ12 〜桜の枝を追うように、論点のつながりを見なさい〜
孫よ、財務会計論を学んでおると、「これは基準の言い回しを覚える科目なんじゃろうか」「結局、仕訳を回せればええのか」と迷うことがあるじゃろう。
じゃがな、会計ばあはこう言いたい。
財務会計論は、点で覚える科目ではなく、枝でつながる科目なんじゃよ。
桜の花が一輪だけで咲くのではなく、枝から枝へとつながって春の景色をつくるように、財務会計論もまた、ひとつの論点だけを切り離して理解してはならんのじゃ。
財務会計論の勉強が伸び悩む受験生の多くは、各論点をばらばらに覚えてしまう。
収益認識は収益認識、引当金は引当金、資産除去債務は資産除去債務、といった具合にな。
もちろん個別論点の理解は大事じゃが、それだけでは本試験で少しひねられたときに、途端に手が止まってしまう。
なぜなら本試験は、「この論点を知っているか」だけを問うておるのではないからじゃ。
むしろ、「その処理がなぜそうなるのか」「他の論点とどう整合するのか」まで見ておる。
そこに財務会計論の怖さもあり、同時に面白さもあるんじゃよ。
財務会計論が強い人は、仕訳の奥にある考え方を見ている
たとえば、ある取引について仕訳を切れるようになることは大事じゃ。
じゃが、それだけで満足してはならん。
その仕訳が、どの財務諸表にどうつながるのか。
利益にどう影響し、純資産にどう波及し、将来の期間配分にどう関わるのか。
そこまで追って初めて、本当に理解したと言えるんじゃ。
会計ばあの見方
仕訳は入口にすぎんのじゃ。
財務会計論で本当に見るべきは、認識・測定・表示、そして期間をまたぐ整合性じゃよ。
ひとつの数字が、どこから来てどこへ流れるか。そこまで目を向けるのじゃ。
受験生のうちは、どうしても「この論点は何点分か」「この問題はどの教材に載っていたか」に意識が寄りやすい。
それも無理はない。
じゃが、財務会計論で上に抜ける者は、論点ごとの点数よりも、論理の流れを掴んでおる。
たとえば収益認識一つ取っても、「いつ計上するか」だけで終わらせず、契約資産や契約負債とのつながり、費用配分との関係、開示の趣旨まで意識できる者は強い。
そういう者は、理論問題でも計算問題でも崩れにくいんじゃよ。
「基準を読む」とは、文章をなぞることではない
孫よ、財務会計論では基準を読む力が大事じゃ。
じゃが、ここで言う「読む」とは、ただ文字面を追うことではない。
その文言が、何を防ぎ、何を整え、どの比較可能性を確保しようとしているのかを考えることじゃ。
たとえば、なぜその資産は取得原価なのか。
なぜそこでは時価が使われるのか。
なぜ評価差額は純資産直入なのか、あるいは損益を通るのか。
こうした「なぜ」を捨ててしまうと、財務会計論は丸暗記の沼になる。
基準を読むときの問い
1. このルールは何を適切に表そうとしているのか
2. 利益計算と財政状態のどちらに重心があるのか
3. 他の論点と比べて、なぜここだけ例外的なのか
4. この処理を採ることで、利用者は何を読み取りやすくなるのか
この問いを持ちながら基準や論点を眺めていくと、単なる暗記事項だったものが、だんだん一本の幹として見えてくる。
すると、不思議なことに記憶も定着しやすくなるんじゃ。
人は意味のないものより、意味のあるもののほうが覚えやすいからのう。
本試験で崩れないための復習法
財務会計論は、解いた問題の数だけで伸びる科目ではない。
大事なのは、復習でどこまで「構造」に戻れるかじゃ。
問題を解き終えたあと、ただ答え合わせをして次へ行くのは惜しい。
そうではなく、次の順で振り返るんじゃ。
- この問題は何を論点の中心にしていたのか
- その処理の根拠はどこにあるのか
- BSとPLのどこに影響するのか
- 似た論点と何が違うのか
ここまでやると、一問が一問で終わらん。
一問が、別の五問や十問へと枝分かれしていく。
それが財務会計論の勉強の理想じゃ。
受験勉強では、つい効率を急いでしまう。
じゃが財務会計論においては、浅く速く回すだけでは限界が来る。
ある程度のところからは、深くつなげて理解した者が、最後に勝つんじゃよ。
会計ばあから、シリーズ12の結び
桜というのは、一枚の花びらだけ見ても美しいが、本当に人の心を動かすのは、枝ぶりや重なりや、全体の景色じゃ。
財務会計論もまた同じこと。
個々の仕訳や基準の文言だけでなく、それらがどうつながって会社の姿を描いておるのか、そこまで見てほしいのじゃ。
今日のまとめ
財務会計論は、基準の暗記だけで戦う科目ではない。
仕訳の背後にある考え方、財務諸表へのつながり、論点同士の整合性まで見ていくこと。
それができれば、少し問い方を変えられても揺らがん。
孫よ、花びらだけでなく、枝全体を見る目を育てるのじゃよ。
焦らずでええ。財務会計論は、最初は散らばって見えるかもしれん。じゃが、学びを重ねるうちに、ある日ふっと一本につながるときが来る。
その瞬間から、ただ苦しい科目ではなく、会社の姿を描く美しい言葉として見えてくるはずじゃ。
今日も一歩ずつ、丁寧に積み上げていきなさい。