会計士試験を勉強してる孫へ
【管理会計論】アドバイスシリーズ6
〜標準原価計算と差異分析は「責める道具」ではなく「改善の歯車」なんじゃよ〜
孫よ、管理会計論を学んでおると、「標準原価計算」と「差異分析」が出てきて、急に歯車が細かくなったように感じるじゃろう。
材料価格差異、材料数量差異、賃率差異、作業時間差異……と並んでくると、名前だけでも息が詰まりそうになる。
じゃがのう、ここで立ち止まって考えてほしいのじゃ。差異分析は、ただ計算して終わるための話ではない。
あれは「なぜ予定どおりにいかなかったのか」を見つけて、次の動きを整えるための考え方なんじゃよ。
管理会計論は、会社の中でどう意思決定するか、どう改善するかを見る学問じゃ。
そう考えると、標準原価計算は「本来こう動くはず」という基準を先に置き、差異分析は「実際はどうずれたのか」を確かめる作業と言える。
つまり、計算問題に見えて、実は現場を見る目を育てる論点なんじゃな。
標準原価計算の本質は「ものさし」を持つこと
まず標準原価計算というのは、製品を作るのに本来どれくらい材料がかかり、どれくらいの時間が必要で、いくらの原価になるのが妥当かをあらかじめ決めておく考え方じゃ。
ここで大事なのは、その標準が単なる理想論ではいかんということじゃな。厳しすぎても意味がないし、甘すぎても改善につながらん。現実を踏まえた、よい基準である必要がある。
会計ばあの見方
標準とは、現場を縛る鎖ではないんじゃ。
現場の動きを測るための、まっすぐなものさしなんじゃよ。
受験勉強では、ここを忘れて式だけ覚えようとすると苦しくなる。
「標準」と「実際」を比べるのは、誰かを責めるためではなく、どこに改善の余地があるかを見るためじゃ。
これが分かると、差異分析の計算にも意味が通るようになる。
差異分析は、数字の奥の原因を読むためにある
たとえば材料価格差異が出たとする。これは「材料の単価が予定と違った」という話じゃ。
ここで受験生がやりがちなのは、「有利差異なら良い、 不利差異なら悪い」とすぐ決めてしまうことじゃな。
じゃが現実は、そんなに単純ではない。
安い材料を仕入れた結果、有利差異が出ても、品質が下がって余計に材料を使えば、今度は材料数量差異が不利になるかもしれん。
つまり、一つの差異だけ見て判断してはいかんのじゃ。
歯車は一つで回っておるわけではないからのう。
ここが管理会計論らしいところじゃ。
個別の数字を見て終わりではなく、数字同士のつながりを見る。
価格差異と数量差異、賃率差異と時間差異、それぞれがどう連動しているかを考える。
そうすると、問題文の見え方が変わってくるんじゃよ。
孫への助言
差異分析の問題では、計算が合ったかどうかだけで安心してはいかん。
「この差異は何を意味しているか」「別の差異とどう関係しているか」まで一歩踏み込んで考えるんじゃ。
試験で点を取るための勉強法
管理会計論で差異分析が苦手な人は、計算手順だけを覚えて、意味づけを後回しにしておることが多い。
じゃから勉強するときは、次の順番を意識するとええ。
- まず差異の名前を見て、「何と何のずれか」を日本語で言う
- 次に計算式を書く
- その差異が有利・不利のどちらかを確認する
- 最後に、現場では何が起きたと考えられるかを短くメモする
この最後の一手間が大事なんじゃ。
会計士試験では、計算力だけでなく、管理会計の考え方そのものが身についているかを問われる。
意味を添えて復習しておくと、理論にも応用にも効いてくる。
それから、標準原価計算や差異分析は、何度も同じ型で出てくるように見えて、実は少しずつ切り口が違う。
だからこそ「この形式は前にも見た」と油断せず、どの差異を何のために出しているかを毎回確かめる癖をつけることじゃ。
そこが、点が安定する受験生と、波が大きい受験生の分かれ目になるんじゃよ。
最後に、会計ばあから一つだけ
孫よ、差異分析は冷たい数字の世界に見えるかもしれん。
じゃが本当は、会社の中で起きたことを静かに読み解くための言葉なんじゃ。
予定と実際がずれるのは、悪いこととは限らん。大事なのは、ずれた理由を知って、次にどう回すかを考えることじゃ。
今日のまとめ
標準原価計算は基準を持つためのもの。
差異分析は、その基準と現実のずれから改善点を探すためのもの。
ただ式を当てるのでなく、「どの歯車が、どうずれて回ったのか」を見ること。
それが分かれば、管理会計論は急に生きた科目になるんじゃよ。
管理会計論は、慣れるまで時間がかかる。じゃが、意味を持って積み上げれば、必ず手応えが出てくる。
今日の問題をただ解いて終わるのでなく、「この差異は何を語っているのか」を一つずつ拾っていきなさい。
そうすればおぬしの中で、知識の歯車が静かにかみ合い始めるはずじゃ。