管理会計8

会計ばあの寺子屋会計士試験

会計士試験を勉強してる孫へ【管理会計論】のアドバイスシリーズ8
「標準原価計算は、ただの差異暗記ではないよ」

〜歯車のように、数字どうしの動きをつなげて理解するのじゃ〜

歯車の視点
管理会計論は、一つひとつの論点をバラバラに覚えると苦しくなる。
じゃが、歯車がかみ合うように「原因」と「結果」をつないでいくと、急に見通しがよくなるのじゃよ。

孫よ、管理会計論を勉強しておると、「標準原価計算がどうにも好きになれん」という声をよう聞くんじゃ。
たしかに、材料価格差異、材料数量差異、賃率差異、作業時間差異、予算差異、操業度差異……と並んでくると、名前だけで肩がこるのも無理はない。

じゃがな、ここで「差異の種類を全部丸暗記しよう」とすると、たいてい息切れする。
会計ばあが伝えたいのは、標準原価計算は“会社の現場で何が予定とズレたか”を見つける道具なんじゃ、ということじゃよ。

つまり、ただの計算問題ではない。
製造現場のどこで歯車が噛み合わなくなったのかを、数字で探っていくための考え方なんじゃ。
そう思って見てみると、差異の一つひとつにもちゃんと意味が出てくる。

差異分析は「責めるため」ではなく「改善するため」にある

まずここを取り違えてはいかん。
試験勉強をしておると、差異分析というものを「正解を出すための分解作業」として見がちじゃが、本来の役割はそうではない。

会社は、最初に「このくらいの材料で、このくらいの賃金で、このくらいの操業なら、このくらいの原価になるはずじゃ」という見込みを立てる。
これが標準じゃな。
ところが実際にやってみると、材料が想定より高くなったり、思ったより多く使ってしまったり、作業に時間がかかったりする。

会計ばあのひとこと

差異とは、「悪い点数」ではないのじゃ。
差異とは、「予定と現実のズレ」そのもの。
そして、そのズレを見て、次にどう直すかを考えるのが管理会計なんじゃよ。

この視点を持っておくと、差異分析の問題で何をやっているかが分かりやすくなる。
価格に問題があったのか、使用量に問題があったのか、作業効率に問題があったのか。
つまり、原因の場所を探しておるんじゃな。

孫がまず押さえるべきは、「何がズレたか」を言葉で言えること

標準原価計算で点が伸び悩む者の多くは、式は書けても、何を意味しているかを言葉にできん。
じゃから、会計ばあはこう勧める。
問題を解くたびに、次のように自分の言葉で説明してみるのじゃ。

たとえば、こう整理するのじゃ

材料価格差異 = 材料の「単価」が予定とズレた
材料数量差異 = 材料の「使った量」が予定とズレた
賃率差異 = 労務の「1時間あたり単価」がズレた
作業時間差異 = 作業にかかった「時間」がズレた

こうして見れば、問われていることは意外と素直じゃろう。
どの差異も、「値段の問題」か「量の問題」か「時間の問題」かに整理できる。
つまり、複雑そうに見えても、根っこはそう多くないんじゃ。

管理会計論では、論点を細かく分けて覚えるより、どの歯車が狂ったのかを見抜く感覚を育てるほうが強い。
ここがつかめると、ちょっと問題の形が変わっても崩れにくくなる。

試験で差がつくのは、「有利差異・不利差異」の先じゃ

もちろん、有利差異か不利差異かを正確に判定することは大事じゃ。
じゃが、本試験で本当に差がつくのは、その先。
つまり、「なぜそうなったか」を考える力なんじゃ。

たとえば材料価格差異が有利でも、安い材料を仕入れたせいで品質が落ち、その結果として材料数量差異が不利になっているかもしれん。
また、熟練者ではない人員を入れたことで賃率差異は有利でも、作業時間差異は不利になるかもしれん。

こういうふうに、差異どうしは孤立しておらん。
一つの歯車を回したら、別の歯車にも動きが伝わるんじゃ。
ここを理解できると、理論問題にも強くなるし、総合問題でも思考が深くなる。

大事な視点
管理会計論では、「一つの数字だけ見て終わり」にしてはいかん。
その数字が、現場で何を意味し、他の論点とどうつながるかまで考える。
それが、会計士試験らしい勉強になるのじゃ。

会計ばあ流、標準原価計算の勉強法

  1. まず差異の名前を「値段」「量」「時間」に分ける
  2. 次に、公式を機械的にではなく意味つきで覚える
  3. 問題を解いたあと、どこに原因があるか一言でまとめる
  4. 差異どうしのつながりを考える習慣をつける

ここで大事なのは、いきなり完璧を求めんことじゃ。
最初は、「これは単価のズレを見る差異なんじゃな」「これは使いすぎを見ておるんじゃな」と分かるだけでも十分じゃよ。
その積み重ねで、論点がちゃんと頭の中で組み上がっていく。

孫よ、管理会計論は、暗記だけで押し切るには少々骨がある。
じゃが、意味で理解し始めると、むしろ筋道が通っていて頼もしい科目なんじゃ。
目先の1問に振り回されず、数字の後ろにある現場の動きを見るのじゃよ。

今日のまとめ

標準原価計算は、差異の名前を暗記するための論点ではない。
予定と現実のズレを見つけ、その原因を探し、改善につなげるための考え方なんじゃ。
差異を「点」で覚えるのではなく、歯車のように「つながり」で見ること。
それができるようになると、管理会計論は急に手ごたえのある科目に変わってくるぞい。

今日の1問を解くときは、ただ正解を当てにいくのではなく、「この差異は何のズレを見ているのか」「なぜこのズレが起きたのか」を考えてみるのじゃ。
そのひと手間が、会計士試験では大きな力になる。
焦らず、歯車を一つずつかみ合わせていくんじゃよ。