管理会計9

会計ばあの寺子屋会計士試験

会計士試験を勉強してる孫へ【管理会計論】アドバイスシリーズ9
速く解こうとする前に、「歯車のつながり」を見なさい

〜管理会計は、単発論点ではなく、仕組みとして理解するのじゃ〜

孫よ、管理会計論を勉強しておると、論点ごとにバラバラに見えて苦しくなることがあるじゃろう。
CVP、標準原価計算、差異分析、設備投資、予算管理、業績評価。
どれも別々の章、別々の計算、別々の解法に見えてしまう。

じゃがな、会計ばあから言わせれば、管理会計論はひとつひとつの知識を覚える科目ではなく、歯車がかみ合うように全体を理解していく科目なんじゃよ。

歯車というのは、一つだけ回っても仕組みにはならん。
小さな歯車が動き、その力が別の歯車に伝わって、大きな装置がはじめて働く。
管理会計論もまったく同じじゃ。
一つの論点だけを切り取って覚えても、試験本番で少し聞き方を変えられると、途端に手が止まる。

反対に、「この論点は、会社のどの判断とつながっておるのか」「この計算結果は、次に何を決めるために使うのか」と流れで見ておけば、問題が少し変わっても崩れにくい。
今日は、その見方をしっかり伝えておくぞい。

まず覚えるべきは、「管理会計は意思決定のためにある」ということ

管理会計論で出てくる数字は、きれいな帳簿を作るためだけのものではない。
会社の中で、「何を売るか」「いくらで売るか」「どこを改善するか」「投資するか、やめるか」を決めるためにあるんじゃ。

たとえばCVP分析。
あれは公式を当てはめるだけの単元ではない。
何個売れば固定費を回収できるのか。
価格を変えたら利益の出方はどう変わるのか。
変動費率が上がると、利益体質はどう崩れるのか。
つまり、経営の「踏み込み」と「引き際」を見るための道具なんじゃな。

会計ばあの確認ポイント

問題を見たら、いきなり計算を始める前にこう考えるんじゃ。
「この問題は、会社に何を判断させたいのか」
ここが見えるだけで、式の意味が急に通るようになるぞい。

伸びる受験生は、論点を“縦”ではなく“横”につなげておる

多くの受験生は、テキストの順に勉強して、その単元の中だけで完結してしまう。
もちろん最初はそれでええ。
じゃが、ある程度進んだら、横につなぐ意識を持たねばならん。

たとえば、標準原価計算と差異分析。
これは単に差異を求めて終わる話ではない。
差異が出たなら、その原因は何か。
材料価格か、作業効率か、操業度か。
そして、その原因は現場のどの改善につながるのか。
ここまで見えてはじめて、管理会計として生きるんじゃ。

さらにその先には、予算管理や業績評価がある。
予算と実績のズレを見る。
ズレの原因を分析する。
改善責任をどこに置くか考える。
つまり、論点は一つひとつ独立しておらず、前の歯車が次の歯車を回しておるんじゃよ。

孫への勉強メモ

ひとつの論点を勉強したら、必ず次を考えるのじゃ。
・この数字は何を示しているか
・この結果を見て、会社は何を決めるのか
・似た考え方が他の論点でどう出てくるか

速さは大事。じゃが、速さだけ追うと歯車が空回りする

会計士試験では、たしかにスピードは大事じゃ。
特に管理会計論は、時間に追われて焦りやすい。
じゃがな、速く解こうとして意味を飛ばすと、かえって失点が増える。

よくあるのは、問題文を十分に読まず、「この形は前も見た」と思ってすぐ計算に入ることじゃ。
すると、前提条件の違いを見落とす。
固定費なのか回避可能原価なのか、全部原価なのか直接原価なのか。
ほんの少しの違いで答えは変わるのに、形だけで解きにいくと危うい。

つまり本当の意味で速い人というのは、手が速い人ではない。
論点の骨組みをすばやく見抜ける人なんじゃ。
だから最初のうちは、急いで計算練習ばかりするより、「何を問う問題か」を見抜く訓練を積んだ方が、結局あとで速くなる。

シリーズ9の結論。管理会計は“仕組み”で覚えなさい

孫よ、管理会計論は細かな論点が多い分、つい枝葉に気を取られる。
じゃが、本当に大事なのは幹の部分じゃ。
会社は何を判断したいのか。
そのためにどんな数字を使うのか。
その数字は次の論点にどうつながるのか。
この流れを見失わぬことじゃ。

今日のまとめ
管理会計論は、単発の公式暗記では伸びにくい。
論点同士のつながりを、歯車のようにかみ合わせて理解すること。
そうすれば、少し問い方が変わっても崩れず、計算の速さもあとからついてくるんじゃよ。

焦らずでええ。
歯車は、一つひとつ丁寧にはめていけば、やがてなめらかに回り出す。
管理会計論も同じこと。
目の前の一問をただ処理するのではなく、その一問が全体のどこにあるのかを見ながら進みなさい。
それが、短答でも論文でも、ぶれない力になるのじゃよ。