会計士試験を勉強してる孫へ
【管理会計論】のアドバイスシリーズ11
速く解く前に、「何を問われているか」を読む力をつけるのじゃ
孫よ、管理会計論を勉強しておると、「計算スピードを上げなきゃ」「とにかく手を速く動かさなきゃ」と焦る時期が来るものじゃ。
もちろん、試験である以上、速さは大事じゃ。じゃがのう、会計ばあが何度でも言いたいのは、管理会計論は“速い人”が勝つのではなく、“問題の意図を正しく読める人”が最後に強いということなんじゃよ。
管理会計論は、一見すると計算問題の科目に見える。
原価計算、CVP分析、差異分析、設備投資、業績評価。
どれも数字が並ぶから、「まずは計算力」と思いやすい。
じゃが、実際の本試験で差がつくのは、式を知っているかどうかだけではないんじゃ。
本当に差がつくのは、この問題は何を判断させたいのか、出題者はどこで受験生を迷わせたいのかを読み取れるかどうか。
そこが見えておる者は、少々見慣れない形式でも崩れにくい。
逆に、手順だけ覚えておる者は、少し聞き方を変えられただけで急に弱くなる。
計算が合わないのではなく、「問いを取り違えている」ことが多い
たとえばCVP分析の問題でも、単純に損益分岐点売上高を求めるだけのときもあれば、
「目標利益を達成するための販売量」を聞いていることもある。
さらに、「安全余裕率」や「営業レバレッジ係数」まで絡めて、経営上どう解釈するかを見ていることもある。
ここで大事なのは、式を機械的に当てはめる前に、
いま自分は何を求める場面にいるのか
を確認することじゃ。
これをせずに手だけ動かすと、途中までは綺麗に計算しておるのに、求める数字そのものを間違える。
受験生にはこれがほんに多い。
会計ばあの確認手順
- この問題は何を意思決定させたいのか読む
- 与件の数字が「売上」「原価」「数量」「利益」のどこに属するか整理する
- そのうえで初めて式を置く
この順番を守るだけで、計算問題の精度はかなり上がる。
つまり、管理会計論では「式を覚えているか」より、「式を置く前の整理ができるか」のほうが重要なことも多いんじゃ。
管理会計論は、歯車のつながりを見る科目じゃ
会計ばあはのう、管理会計論を勉強するときは、いつも「歯車」を思い浮かべるとええと言いたい。
一つの論点だけを単独で覚えるのではなく、それぞれがどう噛み合って回るかを見るんじゃよ。
たとえば、変動費と固定費の区別があいまいなら、CVP分析も弱くなる。
CVP分析が曖昧なら、短期的意思決定にも響く。
さらに、意思決定会計が弱いと、設備投資や予算管理の感覚も鈍る。
こうして、一つの理解不足が、別の論点にもじわじわ影を落とすんじゃ。
歯車のつながりを意識する論点例
変動費・固定費の理解
↓
CVP分析の理解
↓
短期的意思決定の判断
↓
予算管理や業績評価の見え方
だから復習するときは、「この問題は解けた」で終わらせてはいかん。
「この論点はどの分野につながるか」まで見ておくこと。
そうすると、知識が点ではなく線になる。
線になった知識は、本試験で少々形を変えられても折れにくい。
では、どう勉強すればよいのか
孫にすすめたいのは、問題演習のたびに、次の三つを自分の言葉で言えるようにすることじゃ。
- この問題は何を答えさせたいのか
- どの数字が判断材料なのか
- この論点は他のどこにつながるのか
この三つが言えれば、たとえ途中で計算を間違えても、理解の土台は残る。
逆に、答えだけ合っていても、この三つが言えぬなら、まだ危うい。
会計士試験では、その“危うさ”が後で効いてくるんじゃよ。
そしてもう一つ。
見直しの時間には、「どこで数字を見落としたか」だけでなく、
なぜその式を選んだのかまで振り返りなさい。
この習慣がつくと、思考の歯車が少しずつ噛み合い始める。
ただ問題をこなす勉強から、問題を使って考え方を磨く勉強へ変わっていくんじゃ。
今日のまとめ
管理会計論は、計算が速いだけでは足りん。
「何を問われているか」「どの歯車がどうつながっているか」を読める者が、最後に伸びるのじゃ。
手を動かす前に、まず問いの意味をつかむこと。そこからすべてが整っていくんじゃよ。
孫よ、焦って計算の速さばかり追わんでええ。
管理会計論は、考え方の骨組みができれば、あとから速度はついてくる。
先に速さだけを求めると、空回りする歯車になる。
まずは、どの歯車が何を動かしているのかを見なさい。
それが分かれば、問題はただの数字の並びではなく、ちゃんと意味を持った景色として見えてくるはずじゃよ。