会計士試験を勉強している孫へ
【企業法】アドバイスシリーズ11
条文を追うだけでは伸びんよ、鳥の目で全体を見なさい
会社法の細かな知識をつなげるための見方
孫よ、企業法を勉強しておると、どうしても細かな条文、要件、機関設計、責任論に目が行くじゃろう。
それ自体は悪くない。じゃがな、そこばかり見ておると、枝の先に止まった鳥のように、目の前の一葉しか見えなくなる。
企業法で点が伸びる子は、細部を知っておるだけではなく、会社という仕組み全体を上から眺める視点を持っておるんじゃよ。
企業法は、暗記科目のように見えて、実はそう単純ではない。
もちろん覚えるべき条文や結論はある。じゃが、それをただ詰め込むだけでは、本試験の少しひねられた問題に耐えられん。
なぜなら企業法は、「誰が、何のために、どこまでの権限を持ち、どんな責任を負うのか」を整理する科目じゃからな。
つまり、単語帳のように一問一答で切り刻んで覚えるだけでは足りんのじゃ。
会社の中で何が起きているのか、役員や株主や監査役が、どの位置でどう動くのか。
その“流れ”が見えておると、知識はずっと崩れにくくなる。
条文を読む前に、「誰の話か」を確認しなさい
企業法が苦しくなる受験生の多くは、問題文を見た瞬間に「この論点は何だろう」と探し始める。
じゃが、会計ばあはまずこう考えてほしい。
これは誰の立場の話なのか、と。
最初に確認する三つ
- 株主の話か
- 取締役や取締役会の話か
- 監査役・監査等委員・会計監査人など監督する側の話か
ここが定まるだけで、読むべき条文の方向がかなり絞られる。
企業法は登場人物が多いからややこしく見えるのじゃが、見方を変えれば、結局は「会社を動かす側」と「それを監督する側」と「その土台を支える株主」の配置を見ているだけとも言える。
だから、問題演習のときは、いきなり答えを探しに行くのではなく、
「誰が主役の場面か」
「その人は何をできて、何をしてはいけないのか」
を先に言葉で置いてみるとよい。
細かい知識は、飛び回らせず“巣”を作って覚えるんじゃ
孫よ、鳥はただ空を飛び回っておるだけでは暮らしていけん。
ちゃんと戻る場所、つまり巣があるから落ち着くのじゃ。
企業法の知識も同じでな、単発の論点をばらばらに覚えると、試験本番で迷子になる。
たとえば取締役の責任ひとつ取っても、
善管注意義務、忠実義務、任務懈怠、利益相反取引、競業取引、株主代表訴訟と、あちらこちらに話が飛びがちじゃろう。
じゃが、本当は全部、「取締役は会社のために適切に動くべき立場であり、それを外したときにどう責任を問うか」という一つの巣にまとめられる。
会計ばあ流のまとめ方
論点ごとに覚えるのではなく、
「誰の義務か」
「何を守るためのルールか」
「違反するとどうなるか」
この三段で整理すると、知識がつながる。
こうして整理しておくと、初見の問題でも、
「ああ、これは取締役の行動を会社保護の観点から見ている問題じゃな」
と見抜きやすくなる。
企業法は知識量も大事じゃが、それ以上に、知識の置き場所を自分の中に作ることが大事なんじゃよ。
企業法の記述や肢別でぶれないための勉強法
シリーズ11の今回は、勉強の仕方も一つ伝えておこうかのう。
企業法は、読むだけではなかなか定着しない。
じゃから、次の順で復習するのがおすすめじゃ。
- 条文やテキストを読んで、まず結論を確認する
- 次に、「なぜそのルールが必要か」を一行で説明する
- 最後に、誰の立場を守っているのかを言葉にする
ここまでやると、単なる丸暗記から一歩抜け出せる。
たとえば「株主総会の決議が必要」と覚えるだけで終わるのではなく、
「なぜ総会なのか。取締役会ではいけないのか。株主に判断させるべき重大性があるからではないか」
と考えられるようになる。
その視点があると、選択肢問題でも変なひっかけに引っ張られにくい。
表現が少し変わっても、根っこを見て判断できるからじゃ。
今日の助言
企業法は、細かな知識の寄せ集めではない。
会社という仕組みの中で、誰が何を決め、誰が見張り、誰が守られるのかを見る科目じゃ。
鳥のように少し高いところから全体を見なさい。
そうすれば、細かな条文も、ただの暗記事項ではなく、意味のある配置として見えてくるんじゃよ。
孫よ、企業法で苦しくなったときほど、細かい枝先にしがみつきすぎておらんかを振り返るのじゃ。
枝を覚えるなとは言わん。じゃが、森全体を見失ってはならん。
本試験で強い受験生は、細部を知っておるだけでなく、全体の構造を見ながら解いておる。
今日のところはこれを胸に置きなさい。
条文を追うだけでは伸びん。
会社という空を飛ぶように、少し高いところから全体を見る。
その鳥の目が、おぬしの企業法を一段強くしてくれるはずじゃよ。