会計士試験を勉強してる孫へ
【企業法】のアドバイスシリーズ12
条文を読んでも答案にならない者へ伝えたいこと
〜企業法は「知っている」だけでは足りん。「つなぐ力」が要るのじゃ〜
孫よ、企業法を勉強しておると、
「条文は読んだ」「論証も覚えた」「判例の結論も知っておる」――
それなのに答案になると、なぜか弱い。
そう感じることはないかのう。
その原因はたいてい、知識が足りないのではなく、知識どうしがつながっておらんことにあるんじゃよ。
企業法は、ただ言葉を覚える科目ではない。
会社という仕組みの中で、誰の利益を守るために、どの場面で、どういう規律を置いておるのか。
その流れをつかんでこそ、はじめて答案に力が宿るんじゃ。
とりわけ会計士試験の企業法では、条文の知識だけでなく、
条文の趣旨 → 問題点 → 規範 → 事実へのあてはめ
という流れが見えておらんと、どうしても薄い答案になってしまう。
今日はそこを、ばあなりにやさしくほぐして話していこうかの。
条文を読んだだけで安心してはいかん理由
企業法の学習で、まじめな受験生ほど陥りやすいのが、
「条文番号を押さえたから大丈夫」と思ってしまうことじゃ。
じゃがな、条文は出発点であって、答案の完成形ではない。
たとえば取締役の善管注意義務や忠実義務を学んだとする。
その文言を知っておるだけでは、まだ弱い。
試験では、「なぜそういう義務が課されるのか」「どのような場面で問題になるのか」
「その事実関係なら、義務違反が認められる方向なのか」が書けて、はじめて点になるんじゃ。
会計ばあの見方
条文は「枝」に見えるかもしれんが、ほんとうは「幹」に近い。
じゃが、幹だけ見て森は語れん。
趣旨と具体例が合わさって、ようやく一本の木として答案に立ち上がるのじゃよ。
つまり、企業法で大事なのは、条文そのものを暗唱すること以上に、
その条文が会社のどんな危うさを防ぐために存在しておるのか
を理解することなんじゃな。
企業法で答案が伸びる者は、何をつないでいるのか
点を取る答案を書く者は、知識を一つずつ置いていくのではなく、
ちゃんと「橋」をかけておる。
では何と何をつなぐのか。大きく言えば、次の四つじゃ。
答案でつなぐべき四つ
1. 条文の文言
2. 制度の趣旨
3. 問題となる事実
4. 結論に向かう評価
たとえば、「この取締役の行為は会社の利益より自己の都合を優先しておるのではないか」
という事案なら、ただ忠実義務違反と書くだけでは足りん。
なぜその行為が会社との関係で問題になるのか、
利益相反の危険があるのか、経営判断として許される余地があるのか、
そういう評価の筋道を書いてこそ、読み手は「この受験生は分かっておる」と感じるんじゃ。
企業法は、見た目には知識科目に見える。
じゃが実際には、かなり構造把握の科目なんじゃよ。
制度の位置づけが見えておれば、少々聞かれ方が変わっても崩れにくい。
逆に論証だけを切り貼りしておると、問いの角度が変わっただけで急に書けなくなる。
孫にすすめたい復習のしかた
では、どう勉強すれば「つなぐ力」がつくのか。
ばあがすすめたいのは、問題を解いたあとに、次の順で振り返ることじゃ。
- どの条文・論点の話だったかを確認する
- その制度趣旨を一言で言えるようにする
- 問題文のどの事実が重要だったかを拾う
- なぜその結論になるのかを自分の言葉で説明する
ここで大事なのは、模範答案を丸写しすることではない。
自分の言葉で「この会社法上のルールは、こういう危険を防ぐためにある」と言えるようになることじゃ。
その一歩があるだけで、論証の意味がぐっと腹に落ちる。
ばあからの勉強の工夫
ノートに「条文」「趣旨」「典型事例」「答案で使う表現」の四つを並べて整理してみるとええ。
知識が点ではなく線になり、線がやがて面になっていくんじゃよ。
最後に。企業法は、会社の理屈を言葉にする科目じゃ
孫よ、企業法は冷たい条文の集まりに見えるかもしれん。
じゃがその奥には、会社の中で起こりうる対立や、利害のずれや、権限の濫用をどう防ぐかという、
たいそう人間くさい問題が流れておる。
だからこそ、ただ覚えるだけでは足りんのじゃ。
「なぜこの規律があるのか」「誰を守ろうとしておるのか」「この事実はどこに響くのか」。
そこまで見ながら勉強すると、企業法は急に血の通った科目になる。
今日のまとめ
企業法で答案が弱くなるのは、知識不足だけが原因ではない。
条文・趣旨・事実・評価をつなぐ力が足りておらんことが多いのじゃ。
条文を覚えるだけで終わらず、「なぜそのルールがあるのか」までたどること。
それが、安定して点を拾える受験生への道なんじゃよ。
鳥が枝から枝へ飛び移るように、知識もまた、一つから一つへ自然につながっていくのが理想じゃ。
途切れた知識は風に揺らぎやすいが、つながった理解はなかなか崩れん。
急がず、じゃが丁寧に。今日も一つ、知識どうしに橋をかけていくのじゃよ。